老人保健施設は利用者の入れ替わりが頻繁にあるため、常に新鮮な気持ちで働けると考えて入職する介護士は少なくありません。入所期間は3ヶ月を基本とし、長くても6ヶ月程度となっています。短期スパンで新しい利用者が入所するのが特徴ですが、それゆえに別れの頻度も増えてつらいという声もあります。特に特別養護老人ホームから転職してきた方は、寂しさを感じることが多いかもしれません。
医療スタッフとの連携がうまくいかないというコメントもあります。老人保健施設は医療法人が運営していることが多く、医師や看護師といった医療スタッフの考えや意見が重視される傾向があるからです。実際に老人保健施設で働いていた介護士は、施設でのサービスは医療に近いと感じている方が目立ちます。医療と介護は似て非なるものですから、互いの価値観の相違に戸惑うという声が少なくありません。もちろん、職場単位で状況は変わってくるため、医療スタッフとの連携体制が完璧な職場もあります。
要介護度の高い介護施設から老人保健施設に転職した方からは、接遇が軽視されていると感じるという意見が多いです。接遇は利用者一人ひとりに対して真摯に向き合い、尊厳を傷つけないためのマナーです。これはどのような介護の現場でも必要となりますが、老人保健施設の仕事においては、接遇よりも生活不活発病を防ぐことを重視される傾向があります。利用者は比較的健康な方が多く、数ヶ月後には退所していくため、接遇よりも運動不足の解消、生活リズムの健全化などが重視されるわけです。